ドジャースのカイル・タッカー外野手が、米メディアでナ・リーグの「Least Valuable Player(最低価値選手)」に選ばれたと報じられた。もっとも、これはMLBが設けている公式表彰ではない。米紙「ニューヨーク・ポスト」のMLBインサイダー、ジョン・ヘイマン記者による非公式な評価であり、今季の打撃と守備の不振を皮肉を込めて取り上げたものだ。
注目を集めている理由は、タッカーが大型契約を結んだ初年度に苦戦している点にある。ドジャースは昨オフ、タッカーと4年総額2億4000万ドルの契約を結んだと記事は伝えている。年平均では6000万ドルで、記事中では総額約382億円、年平均約96億円に換算されている。期待値の高い選手だけに、攻守の数字との落差が厳しい評価につながった格好だ。
ヘイマン記者が指摘した今季の数字
記事によると、タッカーの今季成績は打率2割3分、11本塁打、57打点、OPS0.688。さらに、直近の25打数で無安打だったこともヘイマン記者の指摘として紹介されている。
打率や本塁打、打点は打撃の結果を示す基本的な数字だが、OPSは出塁率と長打率を合わせて打者の攻撃面を捉える指標だ。また、bWARは打撃、走塁、守備、守備位置などを総合し、選手がチームにどれだけ貢献したかを評価する指標とされる。タッカーの今季bWARは0.0と報じられており、少なくとも今回の記事では、攻撃だけでなく総合的な貢献度も厳しく見られている。
ただし、「25打数無安打」とシーズン成績は同じ期間の数字ではない。直近の長い無安打と、シーズンを通じた打撃成績が重なって報じられたことで、不振の印象がより強まっているとみることができる。
打撃だけでなく守備のプレーも話題に
タッカーをめぐっては、守備での落球にも記事が触れている。低い位置で捕球しようとしてボールを落としたプレーが取り上げられ、打撃不振と合わせて攻守両面の問題として扱われた。
ロバーツ監督はタッカーを擁護する一方、その落球について「良い精神状態ではないというサイン」と指摘したという。また、MLBネットワークラジオでは「君は一人じゃない」とタッカーを支える言葉も語っている。監督の発言は、プレーの結果を責めるだけでなく、苦しい状況にある選手をチームとして支えようとする姿勢を示すものとして受け取れる。
一方、ドジャース中継の解説者エリック・カロス氏からは、タッカーの降格案が出たと記事に記載されている。ただし、これは解説者による提案であり、球団が実際に降格を決めたという意味ではない。タッカーの起用方針をめぐる議論が、メディアや解説者の間で強まっていることを示す材料だ。
「最低価値選手」は契約への批判も含む評価
今回の「最低価値選手」という表現は、単純に一時期の無安打だけを指したものではない。高額契約、シーズン成績、最近の打撃不振、守備でのミス、そしてbWAR0.0という複数の要素が重なっている。
大型契約を結んだ選手には、契約額に見合う活躍が期待される。そのため、同じ数字でも契約前より厳しく評価されやすい。記事がドジャースのタッカー獲得を後悔している可能性に言及したのも、現時点の成績と契約規模のギャップを強調するためだと考えられる。ただし、球団が正式に後悔を表明したわけではない。
タッカー本人は不振から抜け出すため、「ありとあらゆることを試したつもり。でも少し前進できたと思うたび、壁にぶつかってしまう」と話している。巨額契約の重圧が不振の原因だという見方には否定的で、チームの勝利に貢献したいという趣旨も記事で説明されている。本人が改善に取り組んでいることは、今回の評価が選手の姿勢そのものを問題視したものではなく、主に結果とプレー内容に向けられた批評であることを示している。
復調すれば評価を覆す余地は残る
「Least Valuable Player」は公式タイトルではないため、この呼称だけでタッカーのシーズン全体を決めつけることはできない。あくまでヘイマン記者による批評的な表現であり、今後の成績によって印象が変わる可能性は残されている。
ドジャースにとっては、ポストシーズンが近づく時期にタッカーの状態をどう見極めるかが焦点になる。打撃の復調が見られるのか、守備で安定したプレーを取り戻せるのか。そして、ロバーツ監督がどのような起用を続けるのか。降格や契約見直しが決まったという情報はないだけに、今後は実際の起用とプレーの変化が評価を左右することになりそうだ。
まとめ
カイル・タッカーは、打率2割3分、11本塁打、57打点、OPS0.688、bWAR0.0と報じられた今季の成績に加え、直近25打数無安打や守備での落球も重なり、ヘイマン記者から非公式に「最低価値選手」と評された。
重要なのは、これはMLB公式表彰ではなく、大型契約初年度の不振に対するメディア上の厳しい論評だという点だ。本人の復調への取り組みと監督の支援が伝えられるなか、今後はタッカーが攻守でどこまで状態を戻せるか、そしてドジャースがポストシーズンを見据えて起用法をどう判断するかに注目が集まる。


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