平本世中が、ジャンボ尾崎こと尾崎将司さんの追悼大会でツアー初優勝を飾った。初日から首位に立つと、最終日までその座を守る完全優勝。26歳、プロ5年目でつかんだ初タイトルは、競技面だけでなく、優勝争いに向き合う意識の変化という点でも注目される結果になった。
初日から首位を守り、プロ初タイトル
平本が優勝したのは、草津カントリークラブ(群馬県)で行われた「~ジャンボ尾崎追悼大会~ ISPS HANDA 夏に爆発 どれだけバーディー取れるんだトーナメント」。コースは6690ヤード、パー72で、平本は初日から首位をキープして最終日を終えた。
今回が平本にとってツアー初優勝。プロ転向は2021年12月、ツアーデビューは2022年で、2023年には初シードを獲得している。その後もシードを維持してきた選手だけに、今回の勝利は一時的な躍進というより、ツアーで経験を積んできた過程が初タイトルにつながったものと整理できる。
スタート前に届いた尾崎さんの言葉
大会のスタートホールには、尾崎将司さんの等身大パネルが設置された。また、尾崎さん本人の声をAIで再現した音声が選手たちに届けられ、その中で「優勝は、するものだ」という言葉が平本の背中を押した。
平本は尾崎さんと実際に会ったことはないという。それでも、尾崎さんについて「圧倒的に強い」という印象を持っており、スタート前に聞いた言葉を力に変えた。なお、会場で流れたのはAIによって再現された音声であり、尾崎さん本人が大会で発言したものではない。
「きょうはスタートのときに『確かに優勝はするものだな』って思いながら臨めた。そこがいつもの自分とは違ったところ」
平本が語ったこの言葉からは、優勝を目標として明確に受け入れたうえで最終日に臨んだことがうかがえる。
2023年日本オープンとの違いは「優勝を目指す」意識
平本は、2023年の日本オープンで単独首位を経験していた。しかし、そのときは「優勝できればいいな、もしくはトップ10に入れればいい」という考えだったと振り返っている。
今回は、最初から優勝を目指してスタートできた。平本自身も「そういうマインドで18ホールをスタートできたのも成長できたと思える部分」と説明している。首位で最終日を迎えることと、優勝するために最終日を戦うことは、同じ状況に見えても心理面では大きく異なる。過去の経験を踏まえ、今回は目標を曖昧にしなかった点が、完全優勝を支えた重要な要素とみることができる。
終盤の上がり3ホールでは優勝を意識して緊張しながらも、良いゴルフを続けたという。最後まで首位を守り切ったことに加え、プレッシャーのかかる場面で自分のプレーを保てたことも、平本が成長を実感した理由だ。
攻撃型のスタイルでつかんだ勝利が次の課題にも
平本は自身のプレースタイルについて、マネジメントを重視するというより「ピンをバンバン攻めてしまう」タイプだと話している。勢いを生かして攻めるスタイルで初優勝に到達した一方、今後さらに勝利を重ねるうえでは、攻撃性と安定性をどう両立させるかが注目点になりそうだ。
本人は初優勝の時期を「もうちょっとあと」と考え、30代中盤から後半ぐらいになると見ていたという。実際には26歳、プロ5年目でタイトルを手にした。想定より早い優勝を今後の自信に変えられるかは、次のシーズンを見通すうえで重要になる。
ランキング上昇とJTカップ初出場権を獲得
優勝によって、平本はポイントランキングで4位に浮上した。さらに、今季の優勝者など限られた選手が出場できる最終戦、ゴルフ日本シリーズJTカップへの出場権を初めて獲得。2年間のシード権も得ており、今回の勝利はタイトルだけでなく、今後の競技機会を広げる転機となった。
海外舞台への関心も示している。平本は2年シードを得たことを踏まえて「ちょっと考えます」と話し、マスターズについては「プロゴルファーである以上、出られたら最高」と語った。日本オープン優勝を経由したマスターズや全英オープンの出場資格についても触れているが、具体的な海外ツアー参戦やメジャー出場が決まったわけではない。
初優勝を複数回優勝へつなげられるか
平本は今季残りの試合で複数回優勝を狙う意向を示している。完全優勝という結果、終盤のプレッシャーを乗り越えた経験、そして2年シードとJTカップ出場権。これらを次の大会でどう生かすかが、初タイトル後の焦点になる。
尾崎さんのAI再現音声による「優勝は、するものだ」という言葉をきっかけに、平本は優勝を目指す姿勢を明確にして大会を制した。今後は、その意識を一度きりの成功に終わらせず、攻めのプレースタイルと結びつけながら複数のタイトルへ伸ばせるかが注目される。


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